PICKS REPORT vol.32

Weekly Report

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PICKS REPORT vol.32

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【2020年05月22日発行】

1.時事情報

1.1 PE比率を利用した資産評価

■時事概要

  • 従来の金融市場には、金融資産を評価するための手法として「株価収益率(PE比率)」という指標が存在しています。PE比率とは、市場が生み出す収益額に対する投資価値の尺度を表しています。例えば、アップル株のPE比率は23.75と評価されており投資家はアップル社が生み出す1ドルに対して23.75ドルの支払い意思があることを意味しています。他にも参考情報としてネットフリクスのPE比率は86と評価されています。

  • 一般的に、PE比率が高い資産は、その資産が(1)過大評価されている、または(2)成長への高い期待があることを意味します。逆に資産のPE比率が低い場合、市場が対象資産を(1)過小評価している、または(2)将来の成長期待が低いと評価されていることを意味します。

  • 本日は、暗号資産に関する情報配信を行っているBanklessにて、DeFi関連プロジェクトのPE比率による分析が行われていた為、その内容を共有したいと思います。尚、Compound、dYdX、Uniswapに関しては、分析時点でネイティブトークンが発行されていない為、PE比率による分析は行われていません。

  • 上図より0xとAugurは、それぞれ6,935と16,761という従来の金融市場では見ることができない天文学的なPE比率を誇っており、投資家による非常に高い成長期待があることを示しています。

  • 一方でAava、Bancor、Kyberは低いPE比率を誇っているものの、一般的な高成長ハイテク株のPE比率が50~100程度であることを考えると、収益に対する公正な評価がなされていると考えることができます。

■まとめ

プロジェクトとトークンには様々な市場要因が相互に絡み合っていることから、適正評価は難しく、同原文内でも言われているようにトークンの価格が収益を左右するのか、収益がトークンの価格を左右するのかは、100%の確信を持って判断することはできません。ただし、ユーザーが増えることで収益が増加すると考えることはできます。よって資産評価指標として従来より使用されているPE比率が正しく機能していると判断することはできませんが、1つの参考指標として認識しておくことは重要であると考えています。

■参照先

How to value crypto capital assets: Q1 Flash Report

1.2 EIP-1559について

■時事概要

  • イーサリアムネットワークでは、すべてのトランザクションに手数料(GAS)が必要となり、トランザクション毎の最適な手数料を見積もることは困難であるといえます。また、マイナーは高い手数料を支払ったトランザクションを優先的に処理していくため、結果としてユーザーは多くの手数料を支払うことになります。このような問題を改善するためにEIP-1559が提案されました。

  • EIP-1559の実装によって、トランザクションに必要な手数料の計算などの手間が不要で、BASEFEEとtipを支払うのみで済みます。BASEFEEは、ネットワークの混雑状況に基づいてプロトコルによって上下に自動的に決定され、最大90%の手数料が削減されます。また、tipは早急にトランザクションを送信したい場合のチップとして機能します。

  • さらに重要な点として、プロトコルによってBASEFEEとして支払われる手数料は焼却(バーン)され、マイナーはtipのみを受け取ります。これによって、マイナーがユーザーから多くの手数料を請求するような自体を防止します。

  • イーサリアム2.0のフェーズ0では、PoWによって処理されるメインチェーンとPoSによって処理されるビーコンチェーンのハイブリッドコンセンサスアルゴリズムが採用されます。この仕組みからETHの発行量は実質増加することになりますが、EIP-1559による焼却によってETHの価値を維持します。

■まとめ

イーサリアムの非効率な手数料市場を改善することができるため、潜在的にユーザーにとって非常に重要な提案であると考えています。

■参照先

Fixing the Ethereum Fee Market (EIP-1559)

1.3 コンセンシス社:ETHステーキングに関する調査

■時事概要

  • イーサリアム2.0のフェーズ0が2020年7月にリリースを予定しています。ブロックチェーンソフトウェアテクノロジー企業であるコンセンシス社は、ETH保有者300人を対象にETH2.0ネットワーク上でのステーキングに関する調査を行いました。

  • 287人の回答者のうち、65%以上の保有者がETH2.0の利用を検討しています。その65%のうち半数は独自でバリデータとして参加する予定で、残りの半数はサードパーティのステーキングプロバイダーを利用する予定とのことです。さらに、14.6%が参加は未定、2.8%が参加の予定はないと回答しています。

  • 65%の回答者のうち、独自のバリデータを実行またはサードパーティを使用してステーキングを予定している保有者は、ETH保有量の50%程のステーキングを計画しているとのことです。また、回答者の63%が32ETH以上のETHを保有しており、ステーキングを行わないと回答をした人の半数は32ETH未満の保有量であるとのことです。

  • ステイク報酬は#Eth2のインセンティブモデルの重要な部分です。独自のバリデータの実行を予定している人は、年間で平均5.8%のステーキング報酬を期待しており、サードパーティを使用してステーキングを予定している人は、年間で平均7.6%のステーキング報酬を期待しているとのことです。

■まとめ

コンセンシス社による分析レポートの一部を抜粋しました。ETH保有者によるバリデータ参加率は非常に高く、不参加と回答を行なったユーザーも保有枚数が要件に満たない(32ETH以下)ために参加することができないと考えることができます。また、バリデータとして期待されているインセンティブは、一般的に公表されている年利約14%と比較して消極的であることがわかりました。

■参照先

Consensys

2.トークン情報

2.1 celo(cGLD)

■一言紹介

cGLDは「ステーブルコインの価格安定化」を目的に発行された暗号資産です。

■概要

  • Celoは、グローバルな金融包摂を目指すモバイルファーストなプロジェクトです。フェイスブック社が発表しているLibraとの類似点も多く、Alliance for Prosperityと呼ばれる企業同盟にはa16zやコインベース・ベンチャーズなどを含む73企業が参加しています。プロジェクトのネイティブトークンとして「cGLD」が発行されています。

  • 「cGLD」は、エコシステム内で発行されるステーブルコインの準備金、トランザクション手数料、ガバナンスを目的としたボンド(ステーキング)による使用を目的に発行された暗号資産です。

  • エコシステム内ではドルやユーロなどにペグされた様々なステーブルコインを作成することができ、cGLDやその他暗号資産を担保にすることで価格の安定化を図っています。発行予定であるドルにペグされるステーブルコインcUSDは、cGLDやBTC、ETHが準備金として想定されています。cUSDの価格を1ドルに維持するためのメカニズムは、Maker DAOに類似しており、1ドルを上回った場合、新規発行されるcUSDが市場で売却され供給量を増加させます。1ドルを下回った場合、cGLDでcUSDを買取り焼却することで供給量を減少させます。このような価格安定化メカニズムは準備金として用意されているcGLDによって行われ、準備金を維持するために準備金の残高に応じてトランザクション手数料が変動する仕組みになっています。

  • エコシステムの持続可能性を高めるために、新規ステーブルコインや準備金の選定はcGLD保有者による投票によって決定されます。投票は、cGLDをボンド(ステーキング)することで1アカウント3票の権利を得ることができます。また、保有者はバリデータにロックすることでデリゲート(委任)することもできます。

  • ステーキングによるインセンティブは最大6%で、cGLDのボンド量と期間によって重み付けが異なります。また、バリデーターはステーキング報酬とは別に、毎年最大75,000cUSDのインセンティブを獲得することができ、このような仕組みによってcGLDの長期保有を促進しています。

  • 実際、celoエコシステムを利用することでどのようなユースケースが想定されているかについて説明します。通常、暗号資産で取引を行うためには、ウォレットダウンロード、鍵の生成と管理、桁数の多いアドレスの共有が必要となり、多くのユーザーにとって参入障壁が高いのが事実です。Celoは電話番号とアドレスを紐付け、結果的に電話番号のみでユーザー間の取引ができるようにすることを目指しています。エコシステム内のステーブルコインを電話番号とモバイルのみで可能にすることは、ユーザーの参入障壁を大きく下げることに貢献すると考えられます。

■トークン用途

  • ステーブルコインの準備金用途

  • トランザクション手数料用途

  • ガバナンスを目的としたステーキング用途

■数字で把握

  • 発行上限枚数:2億枚

  • オークション開始日:2020年05月13日

  • メインネット開始日:2020年05月19日

  • 資金調達:約10億円

  • ダッチオークション開始時価格:約1,291円

  • ダッチオークション終了時価格:約107円

  • 平均入札価格:約540円

  • ロックアップ期間:60日

  • 入札人数:761人

  • Twitter:6,613人

  • フォーラム:239人

  • ステーキング報酬:最大6%

  • 他のブロックチェーンと比較した際の軽量化:1/17000

  • メインネットバリデータ数:86個

  • バリデータ最大ロック数(cGLD):50,032枚

  • グラント申請者:130人

(2020年05月23日時点)

■参照先

公式

Medium

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筆者

https://twitter.com/imai_ryouji

CoinPicks

https://twitter.com/CoinPicks_

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