PICKS REPORT vol.30
Weekly Report
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PICKS REPORT vol.30
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【2020年05月01日発行】

1.時事情報
1.1 Nifty Gateway|顧客調査と販売戦略
■時事概要
Nifty Gateway Marketplaceが稼動後、3つのDrop(デジタルアイテム)がリリースされ、24時間以内に完売しています。Dropは3週間に1度木曜日にリリースされます。今回は、3つのDropの販売によって得られた情報をまとめます。
購入ユーザーの69.2%は他のプラットフォームでNFTを購入したことがないユーザーでした。つまり、同サービスのミッションであった「NFTをより身近なものにする」ことに成功していると言えます。
同サービスで最初に販売したDropの多くは、セカンダリーマーケットでの価値が急上昇しています。例えば、Lyle OwerkoによるBrass Boomboxは元々約2,137円(20ドル)で販売されましたが、現在では平均約5,130円(48ドル)で取引されています。他のデジタルコレクションも販売価格の2.8倍から3.85倍まで価値が上昇しています。
今後のプロジェクトをリリースしていく際には、アートNFTとコレクタブルNFTを明確に区分していきます。また、ユーザーの混乱を招く先行販売の提供を廃止するとのことです。
■まとめ
NFTマーケットプレイスとして非常に注目を集めていることもあり、その販売戦略等の成功事例はNFTの販売スキームを検討していく企業にとって注目すべき情報と言えます。
■参照先
Nifty Gateway: April 30th Update
1.2 Ontologyの公式ウォレットONTは「NFT」をサポート
■時事概要
Ontologyの公式ウォレット「ONTO」が、Non-Fungible Tokens(NFT)の正式サポートを開始しました。デジタル猫のコレクタブルゲーム「CryptoKitties」やデジタルカードゲーム「Gods Unchained」を含む、オントロジー(ONT)やイーサリアム(ETH)上で開発された数千のデジタルコレクションの管理をすることができます。
NFTをサポートしているウォレットといえば、tokenPocketやTrust Walletが日本でも知られており、ブロックチェーンゲームユーザーにとっては馴染み深いと思います。では、ONTOはこれらのウォレットと何が違うのでしょうか。
特徴1:サポートから9ヶ月間、ユーザーが毎月設定されたタスクを完了することで限定版のNFTメダルを獲得することができ、9枚のメダルをコンプリートしたユーザーには「ONTO 2020宝箱」を獲得することができます。
特徴2:ONT IDによって、ユーザーの個人情報を含むデータはローカルに保存され、全てのデータの権限がユーザーにあり、第三者が恣意的に情報を取得することはできません。
特徴3:メッセージアプリ「カカオトーク」を運営する韓国のカカオが開発している「KLAY」ブロックチェーンのサポートをしています。
特徴4:Ontologyのネイティブトークンである「ONT」を預けておくことで、手数料用途として使用可能なGASを獲得できます。
特徴5:ウォレットとしてセキュリティ監査を受けており、中国のセキュリティチーム「SlowMist」によって、セキュリティレベルは「A」と評価された実績があります。
■まとめ
他のウォレットと比較した際の大きな違いとして、セキュリティと個人データの保護に力を入れている点が挙げられます。また、NFTに関する長期戦略の一環として行われる「特徴1」に関して、ユーザーの行動を促すタスクがどのように与えられるのかは注目です。同様にNFTプロジェクトの体験を促すサービスとして「Drip」がローンチしています。Dripでは、NFTに関する与えられたタスクをクリアすることで信用スコアが付与されます。
■参照先
Ontology’s Official app ONTO is Live!
1.3 NFTの発行規格別ユースケース
■時事概要
Non-Fungible Tokens(NFT)の多くは、イーサリアムブロックチェーン上に構築されています。多くのブロジェクトがイーサリアムブロックチェーンを利用する理由として、知名度、開発リソースの多様性、拡張性などが考えられます。今回はイーサリアム以外のNFTを発行することができるソリューションについて確認します。
VeChain:2019年5月、VIP-181と呼ばれるNFTを発行するための規格を発表しており、活発なコミュニティと開発環境が整備されています。また、実際のユースケースとしてデジタルアートをトークン化することができる「VeriArti」、様々な特性を持つ赤ちゃんを育て、戦い、NFTベースのアイテムを獲得できるRPGゲーム「Block Babies」などが存在しています。
Neo:2019年3月、NEP-5と呼ばれるNFTを発行するための規格を発表しており、実際のユースケースとして「Blockchain Cuties」「0x Racers」「Warriors」などが存在しています。他にも多くのプロジェクトがリリースされているものの、その大半が停止しているのが現状です。
Steem:Steemブロックチェーンは2017年から存在しており、多くのDAppsがリリースされています。また、2020年からはNFTのサポートも開始しており、実際のユースケースとして、カードバトルゲーム「Splinterlands」、植物の栽培をベースにしたゲーム「Hashkings」などが存在しています。また、TronチームがSteemの技術を利用してNFTプロジェクトを開発する可能性が言及されています。
EOS:dGoodsと呼ばれるNFTを発行するための規格を開発しており、実際のユースケースとして、RPGゲーム「EOS Knights」などが存在しています。獲得したNFTを送信する際にRAM、NET、CPUのいずれのリソースが必要になります。
■まとめ
多くのプロジェクトがNFTの発行規格にイーサリアム(ERC-721)を採用しているのは事実であり、開発リソースの多様性、拡張性の観点からも推奨します。しかし、それぞれのチェーンにはメリットやデメリットが存在しているため(記事には言及なし)、他プロジェクトの特性やユースケースを押さえておくことは重要であると考えています。
■参照先
NFTs on other blockchains: Where are we?
1.4 Dapp Rader|第一四半期レポートの要点
■時事概要
イーサリアムは、2020年第1四半期の1日のアクティビティ総数の63%、ハイリスクカテゴリーの総取引量の99%を占めています。
イーサリアムのハイリスクカテゴリーの取引量は前年同期比2852.75%増加、1日の平均アクティブウォレットに関しては948.37%増加しました。
2020年第1四半期のうち4月はハイリスクカテゴリーで発生した総取引量の55%をHEXが占めていました。HEXとは、イーサリアムブロックチェーン上に構築された高金利金融商品(CD)です。
2020年4月30日時点で、約16億円の出来高を生成しており、2020年第1四半期のイーサリアムハイリスクのボリューム全体の63%を占めています。
DappRadarに掲載されている724種類のDAppsのうち、59.9%である434種類はハイリスクDAppsに該当します。
DappRadarに掲載されている724種類のDAppsのうち、14%は過去7日間のデイリーアクティビティがほぼゼロです。


■まとめ
上記の結果から、DAppsによるEthereum使用率の高さを知ることができます。
■参照先
High-Risk Dapps Ecosystem: Q1 Flash Report
2.プロジェクト情報
2.1 ETH 2 Calculator

■一言紹介
ETH2.0の「ステーキング利回りを視覚的に確認」できるウェブサイトです。
■サービス概要
Ethereum2.0の最初のフェーズである「Phese0」稼働後、デポジットコントラクトにETHを任意枚数(仕様では最低32枚)ステークした際の運用利回りを視覚的に確認することができます。
ただし、算出された利益には運用コストが含まれていないため、VPSサーバー費用を考慮する必要があります。
例えば、仕様上の最低ステーク枚数である32枚をコントラクトにデポジットした場合、年間利回りは14.26%となります。また、2020年5月1日時点でのETH価格、約22,517円で32ETHデポジットして複利運用した場合、1年後の利益は約10万円、10年後の利益は約200万円となる計算です。
■ユーザー利便性
多言語対応のウェブサイトであるため、日本語で情報を確認することができます。
将来的にETHステーキングを検討している場合、参考情報として試算ができます。
年単位で利益とROIの確認ができます。
■ユーザーリスク/課題
算出された利益には運用コストが含まれていないため、資産者個人で検討が必要です。
■まとめ
視覚的にETHステーキングの利益を確認することができるウェブサイトとして大変便利です。実際にステーキングを行う際のサーバー要件などは別途確認が必要です。
■参照先
3.トークン情報
3.1 Monero(XMR)

■一言紹介
XMRは取引情報の秘匿化によって「プライバシー」を守るために発行された暗号資産です。
■概要
Moneroは、検閲への対抗手段として3つの方法を組み合わせてトランザクションに秘匿性を提供するプロジェクトです。プロジェクトのネイティブトークンとして「XMR」が発行されています。
「XMR」は、ユーザーのプライバイシーを重視して秘匿性を維持するために発行された暗号資産です。
匿名技術①:「リング署名」は、生成されたトランザクションの署名者とMixinと呼ばれる「おとり署名(過去の署名者)」を混ぜることで、送信者を秘匿化します。Mixinを含むことでトランザクションサイズが大きくなってしまうという問題が浮上したものの、「Bullet proof」と呼ばれる技術の実装によって、トランザクションサイズを約1/10まで縮小します。
匿名技術②:「ステルスアドレス」は、トランザクションの送信毎に生成されるワンタイムアドレスによって、送金先の特定を送信者と受信者のみに限定します。
匿名技術③:「リングCT(Confidential Transactions)」は、複数のトランザクションインプット(送金額の量)をミックスすることで送金額を秘匿化します。
現在開発中の「Kovriプロジェクト」は、トランザクションをルーティングおよび暗号化します。これによって、トランザクションのIPアドレスが秘匿化され、ネットワーク検閲に対する保護を強化します。
■トークン用途
送金用途
■数字で把握
発行日:2014年04月18日
発行時の価格:約260円
現在価格:約7,125円
流通枚数:17,541,990枚
発行上限枚数:なし(*1)
Twitter:319,000人
Telegram:5,117人
コアチーム:7人
開発コミュニティの数:約617人
ブロック生成時間:2分
(2020年4月30日時点)
*1 発行枚数に上限はないものの、2022年5月31日頃にはブロック報酬が1ブロックあたり0.6XMRとなり、それ以降は一定の発行枚数を維持します。これは、ユーザーインセンティブの確保、インセンティブによるマイナー間の競争によるトランザクション手数料の削減、ネットワークセキュリティの確保を目的としています。
■参照先
Monero Becomes Bulletproof:Stealth Address
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■筆者
https://twitter.com/imai_ryouji
■CoinPicks
https://twitter.com/CoinPicks_
■バックナンバー
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